大切なのは人に贈りたくなる“癒し”の商品戦略「LUSH」の LINE ギフト活用術

LINEギフトでの取り組みにより、自社ECとはまた異なる販路の開拓に成功しているナチュラルコスメブランド「LUSH」。同社はLINEギフトのプラットフォームの活用に際し、どのような戦略を立てているのでしょうか? ラッシュジャパンのデジタルコマーススーパーバイザー、勢力奈未(せいりきなみ)さんに話をお聞きしました。

人に贈りたくなる“癒し”の商品戦略

御社がLINEギフトに出店されたのは、2021年11月のことでした。まずはその経緯から教えてください。

勢力さん:当時はコロナ禍の真っ只中とあって、なかなか人と繋がることができないフラストレーションを、多くの方が抱えていた時期だったのではないかと思います。
その、人と繋がりたいという想いをギフトにのせてお届けできるモデルは私たちにとって非常に魅力的で、それがぜひ参加させていただきたいと考えるきっかけになりました。それに何より、LINEといえば日本人口の大部分が使っていると言っても過言ではないツールですから、その商機の大きさに期待していました。

バスボムなどのお風呂アイテムも豊富にそろえている御社は、コロナ禍の巣ごもり需要と相性が良さそうですね。

勢力さん:多くの方が癒しやセルフケアを必要としていた時期であるのは間違いないと思います。香りで心をハッピーにできたり、幸せなバスタイムを満喫できたり、そういった部分で自社の製品がお役に立てたのであれば嬉しいですね。

御社は自社サイトでもECを展開されています。LINEギフトはまた異なる販路になり得るという期待が?

勢力さん:そうですね。LUSHのギフトを貰ってブランドのファンやお客様になる方が圧倒的に多いのです。ギフトは我々としては大いに注目すべき市場ですから、それに特化したLINEギフトは、新規ユーザーの獲得に最適でした。
また、たとえばバレンタインの場合、公式ECのほうでは仕組み上、発送期間を見て2月14日の少し前に締め切らざるを得ません。それに対し、LINEギフトでは当日まで相手に贈ることができますから、この直前需要に応えられるのは重要です。逆にいえば、これまで機会損失をしていた部分ですから。

ギフトに最適化する上で、どのような商品構成を意識しているのでしょうか?

勢力さん:ご友人同士の間で気軽に贈れるカジュアルなものをセレクトしたり、幅広いバリエーションの価格帯を展開したり、お客様が商品を選びやすい構成を常に考えています。
また、大切なのは“人に贈りたくなる”ラインナップであることで、ラッピングなども、ひとつひとつリサイクルプラスチックや女性支援に繋がるオーガニックコットン素材を使いカラフルで遊び心のあるデザインを多数ご用意しています。

「【LINEギフト限定】 ありがとう!感謝の気持ちを込めて。ハンドケアラッピングギフト」は、人気のハンドクリームを感謝の気持ちを込めて贈ることができる特別パッケージ。この商品のラッピングもスタッフが手作業で行っているという。

LINEギフトにおいて、とりわけ注力されている価格帯は?

勢力さん:2,000円前後で、実際この価格帯の需要が高いですね。店舗では20,000円ほどの商品までバリエーションを用意していますが、LUSH製品のLINEギフトでの傾向としては高くても3,000円までの価格帯が強いです。

また、御社はシーズナル商品の展開にも積極的な印象を受けます。

勢力さん:そうですね。今年の年始には新年限定コレクションとして、辰年に合わせて龍をモチーフにしたバスボムを販売しました。
また、日本のお風呂文化に合わせて、毎日のお風呂でほっと一息つける、心がやすらぐバスタイムを過ごしていただきたいという思いから、『一服シリーズ』というバスボムのギフトセットもご用意しています。『今日の一服』というギフトセットは LINE ギフト限定パッケージもご用意し、好評をいただいています。

「【LINE限定】ほっと一息。今日の一服 ギフト」は今日の気分に合わせて四季の旅を愉しむことができるバスボムセット。かわいいパッケージで癒しを届けられることから、LINEギフトで満足度の高い人気商品。

レビュー機能に寄せられる声が、明日へのモチベーションに

LINEギフトの機能面については、どのような点に注目されていますか。

勢力さん:たとえばレビュー機能(※)は、私たちにとって製品を“受け取った側”の声を聞くことができる、大変貴重な機会であると感じています。どなたかから弊社の製品を贈られた方が、その喜びの声を書き込んでくださっていて、これはスタッフ一同、大きなモチベーションの源になっているんです。社内でも、「ちょっと疲れた時にはLINEギフトのレビューを見よう」というのが合言葉になっているほどです(笑)。
※レビュー機能について:https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2023/4666 

それは勢力さんご自身も?

勢力さん:もちろんです。単純に「うれしい」とか「かわいい」といった声を見ているだけで、人と人を繋げられた実感が得られて、とてもハッピーな気持ちになります。やはり普通の商品レビューと違い、受け取った時の感動が添えられていることが多いので、これはパワーになりますね。

eギフトから生まれる心地良い顧客体験

2022年3月からは、eギフトをLINEギフトに出品されています。これにはどのような狙いがあるのでしょうか。

勢力さん:お客様とのタッチポイントを増やす意味合いが大きいですね。店頭であればスタッフとの会話を機にLUSHのファンになっていただくこともあると思いますが、オンラインではそうはいきません。
その点において、電子チケットを贈るという消費行動が根付いてきたこともあり、eギフトは一定の成果を得ています。
また、バリエーションの中で、1,000円よりも2,000円、3,000円のeギフトのニーズが高いことから、少しスペシャルなものを贈りたいというお客様の気持ちが見えるように感じます。
来店されるお客様はeギフトを手に「好きな商品を選べる!」とハッピーな気持ちでLUSHへ来店し、接客を受ける。それに対し、LUSH側もより良いかたちでeギフトを使っていただきたいという思いがあるので、お互いに満足度の高い施策だと思います。

ここまでのLINEギフトでの取り組みを、社内ではどのように評価していますか?

勢力さん:これはもう、ただただ感謝しかありません。たとえば今年の新春特集で、ヴィーガン対応の入浴料セット『ブルーミング ドラゴン ギフト』を、LINEギフト公式Xアカウントとコラボしてキャンペーン展開したところ、弊社のすべての販路の中でLINEギフトが売り上げ1位になりました。
旗艦店であるLUSH新宿店を抜いたことは、社内で驚きをもって受け止められています。あらためてLINEギフトというプラットフォームの影響力を感じました。
「LINEギフト公式Xアカウントでのコラボキャンペーン。商品×シーズンがマッチしたキャンペーンで多くの反響を呼んだ。
※本キャンペーンは終了しております。

最後に、LINEギフトに今後期待することを聞かせてください。

勢力さん:一番の期待は、やはりまだ私たちの製品と接点を持っていない、潜在的なお客様と繋がれることです。これまでの取り組みから、クリスマスやバースデーに最も需要が集まることがわかっていますから、我々としてはそこに特化した商品展開を、さらに工夫していかなければなりません。
また、たとえば人気商品の「ハンドケアラッピングギフト」では、包んでいるオリジナル風呂敷の「ノットラップ」にペットボトルを再利用した素材を使用しています。また、包装を開けて終わりではなく、ノットラップをその後もエコバックなどとして再利用いただけますので、ギフトを受け取った後もエシカルな考えを広めていけるのではないかと思います。今後もLINEギフトを通じて、こうした取り組みは続けていきたいですね。

(原稿:友清哲/撮影:木原基行)2024年2月14日