LINEギフトで成長を続ける「出産祝い」需要。株式会社ダッドウェイの取り組みに見るトレンドの舞台裏

誕生祝いや結婚祝いなど、さまざまなギフトシーンで活用されているLINEギフト。中でも最近では、出産祝いの需要が著しく拡大しています。そのトレンドの背景に迫りました。

前年比最大141%をマークする好調な「出産祝い」

最近、LINEギフト上では、キッズやベビー向けアイテムを中心に、出産祝いの需要が急成長を続けています。
具体的にデータをひもとけば、このカテゴリの年間流通額は前年比で平均117%を記録。とりわけ春から夏にかけての伸長率が顕著に高く、5月には前年比141%に達しています。

2024年4月~2025年3月と2025年4月~2026年3月の出産祝いカテゴリ流通額比較

また、商品ごとの売れ行きについては、1位にギフトカード、2位にカタログギフトがつけ、気軽な贈り物の手段として、LINEギフトが重宝されている様子が窺えます。
こうしたデータは、まさにLINEという広く一般に浸透したコミュニケーションツールに軸足を置き、ライトな関係性の中でもお祝いの気持ちを表現しやすい強みを表していると言えるでしょう。

出産祝いの商品カテゴリ別流通額を集計

今回は、出産祝いのカテゴリにおいてひときわ好調な売上げを誇るブランド、「aden+anais」を運営する株式会社ダッドウェイの栗田さん渡邊さんに、トレンドの背景をお聞きしました。

年々、低下傾向にある出産祝いの平均予算

御社ではキッズ・ベビー向け商品とソーシャルギフトの相性について、どのようなイメージをお持ちでしょうか。

栗田さん:まず「aden+anais」に関して言えば、もともと実店舗や各種ECにおいてもギフト比率が6~7割超という、非常に贈り物としての需要が高いブランドです。
中でも結婚や出産のタイミングは住所や名前が変わることが多く、郵送でのギフトが贈りにくい事情があるため、ソーシャルギフトの利便性が物を言いやすいのだと思われます。とくにLINEギフトの場合は、普段から使っているLINE上だけで完結できるわけですから、なおさら親和性が高いでしょう。
また、統計的に出産祝いに費やす予算が年々下がっていることも、LINEギフトの好調に拍車をかける理由のひとつと考えられます。

出産祝いの予算が下がっている理由を、どう分析していますか?

栗田さん:たとえばオフィスの同僚が出産した場合、以前であれば部内のメンバー数名でお金を出し合って、15,000円程度のアイテムを贈るようなことが珍しくありませんでした。
ところがコロナ禍以降、複数名の連名で出産祝いを贈る機会が激減し、親しい個人間で直接贈り合うケースが増えました。一般的には3,000~4,000円、より親密な間柄であれば6,000~7,000円あたりが相場で、この価格帯にLINEギフトはちょうどマッチしていると言えます。

LINEギフト出店のメリットをここまで、どのようなところに感じていますか?

栗田さん:出産の際は自宅を離れることが多く、たとえば里帰り出産であれば帰宅するのが2~3カ月後になり得ることを踏まえれば、受け取る相手が配送先住所を指定できるLINEギフトは、利便性が高いと思います。
また、いままで「aden+anais」というブランドをご存知なかった方との出会いが、日々得られていることに尽きると思います。LINEギフトで「aden+anais」を知った方が、実店舗で催されるイベントに参加してくださるケースも多く、従来の我々のタッチポイントでは届かなかった層にリーチしている実感があります。

株式会社ダッドウェイ 取締役副社長 栗田 京子さん

御社ではつい先日も、プロカメラマンによるフォトイベントや新商品のオンライン先行予約販売など、さまざまな取り組みを行っていました。こうしたリアルイベントの狙いと効果について、MD担当の渡邊さんから聞かせてください。

渡邊さん:今回は「aden+anais」として15年ぶりのイベントで、我々が昨年ブランドと事業を継承するにあたり、まずはお客様とのタッチポイントを設け、しっかりとコミュニケーションを図ることから始めようという思いがありました。
オンラインの利便性もさることながら、やはり実際に商品を見て触ってみたいというお客様もいらっしゃいますから、そのニーズに応える場を作る必要があると思います。実際、今回のイベントも、商品の肌触りを実際に感じていただいた上で、購買という次のステップへ進んでいただける、良い機会になったと実感しています。

現在の利用層でいうと、やはり女性層が中心なのでしょうか。

栗田さん:お子さんが身近にいる年齢の方とそのご友人となると、どうしても女性比率が高くなるのは事実です。しかし一方で、こうしたソーシャルギフトでは不特定多数の需要が見込め、現場の感覚値としては、男性比率は少しずつ上がっているように感じております。

男性比率が上がっている理由は何でしょうか?

栗田さん:これは分析というより印象に過ぎませんが、男性の場合、実店舗を訪れても何を買えばいいのかわからず、困ってしまう方も多いと思います。その点、LINEギフトではひとつひとつの商品情報にアクセスでき、必要に応じてその口コミをチェックすることも可能なので、セレクトしやすい面があるのではないでしょうか。また、スマホひとつで手配できるので、タイパという点でも有利でしょう。

リアルの売り場が縮小し続けているベビー向け商品

LINEギフト上での御社の売れ筋商品では、やはりスワドル(おくるみ)のセットが人気ですね。

栗田さん:昔はベビー向けのお洋服が出産祝いの定番でしたが、現実問題として、身につけるものについては親御さん側が気に入ったもの、お子さんに似合うものを選びたい心情があるはずで、贈る側に遠慮が生まれます。
その点、スワドルやブランケットなどは、実用的で喜ばれるだろうと、贈りやすい側面があると思います。そして実際に喜んでもらえると、また次の出産祝いを贈る機会には、同じブランドの柄違いなどに手が伸びやすいという事情もありそうです。

LINEギフトで売れ筋商品のスワドル(おくるみ)

LINEギフト上で展開するラインアップについては、どのようなことを意識して決定していますか。

栗田さん:簡単にいえば、万人受けしやすいもので、金額的に負担感のないものということになります。LINEギフトの利用層はやはり若いので、5,000円以下であってもしっかりとギフト感が表現できるものを取り揃えるようにしています。

LINEギフト上で出産祝い需要が伸びている理由を、どのように考察していますか。

栗田さん:折しもの少子化の影響で、リアルの売り場が縮小傾向にあることは大きいと思います。一昔前であれば、百貨店にはかならず一定数のベビー向けグッズを扱うショップが存在していましたが、いまはそうではありません。
その分、オンラインに需要が流れるのは当然と言えば当然で、さらにコロナ禍によって赤ちゃんの生まれた家に遊びに行きにくくなってしまったことも、その需要を後押ししているでしょう。

LINEギフト上で、年間を通してとくに売上げがアップする時期はありますか?

栗田さん:我々が取り扱っているガーゼ生地の商品は、暑さ対策の意味で春から秋口までがピークになります。ただ、秋冬においても需要は多少落ち着くものの、浴用のタオルとしてお使いいただいているため、年間を通してそれほど大きな波はありません。

その意味では、シーズナル商品を開発しにくい側面があるように思えますが、いかがでしょうか。

栗田さん:そのあたりは工夫次第だと考えています。「aden+anais」の取り組みでいえば、例年、干支をあしらった商品をシリーズ化しています。昨年の10~11月に、馬のモチーフを描いた商品を2026年生まれのお子さんに贈るギフトとして提案し、ご好評いただきました。

干支をあしらったスワドル(おくるみ)

では、LINEギフト上での商品の見せ方など、クリエイティブの面で工夫していることはありますか。

栗田さん:スマホの画面でも見やすい商品画像を用意することなのですが、商品だけを単体で掲載するのと、赤ちゃんと一緒に写ったものを掲載するのとでは、圧倒的に後者のほうが反響を呼びます。
赤ちゃんだらけのページになってしまうのも考えものですから、ギフトパッケージやショッパーの様子をなるべくきれいに見せられるよう、いまも工夫を続けています。

ソーシャルギフト上での出産祝い需要は、今後まだまだ伸びていくでしょうか?

栗田さん:そう思います。二極化が進んでいるのはベビー用品も同じで、コスパの良い商品が好まれる半面、10万円も20万円もするベビーカーが売れている事実があります。予算のある方は、もっといいものを贈りたいという物足りなさを感じていて、日本を始めとするアジア市場はまだまだそこに対応しきれていないのが実情です。そこにキッズ・ベビーカテゴリの可能性と伸び代があると考えています。
今後は生まれたお子さんだけでなく、出産という大役を経たお母さんをケアするようなギフトを開発したい思っています。お隣の韓国や台湾では、妊婦さん向けに1カ月500万円レベルのラグジュアリーな宿泊施設があるほどで、いつかそういう世界観をギフトに持ち込むことができれば面白いですよね。

(原稿:友清哲)2026年3月20日